COUNTDOWN TO ECSTACY
『エクスタシー』
1973.7

Bodhisattva / Razor Boy / Boston Rag / Your Gold Teeth
Show Biz Kids / My Old School / Pearl Of The Quarter / King Of The World

 前作の延長線上の作品であるが、快活な曲とそうでない曲の落差に、なにがしかの抵抗ともがきが感じ取れる。明らかに前作の世界からは抜け出そうとしているのだが、ジャズ・ロック的なアプローチも未消化な部分があり、ポップスとしては多少冗長になってしまっている。
 次に目指すべきサウンドを模索してはいたものの、スケジュールに追われて中途半端な答えしか出せないまま世に出てしまったといえるのではなかろうか。それでも聴きどころは多い作品である。


Bodhisattva 「菩薩」
 なんといってもデニー・ダイアスのバップ調のギター・ソロが秀逸。初期の作品では彼のギター・プレイが光っているが、数あるソロの中でも一番の出来だろう。何年前だったか、ジェフ・バクスターがキース・エマーソンやジョー・ウォルシュらと来日したとき、椅子に座ってうれしそうにこの曲を弾いていたのが印象的だった。ちなみに当サイトの名前はこの曲の歌詞の一節から取っています。この単純な歌詞は欧米人の典型的な東洋観や仏教観を皮肉ったものだというのだが。

Razor Boy 「レイザー・ボーイ」
 やさしく流れてしまう曲。バイブとペダル・スティールとアコースティーック・ベースがやさしい。

The Boston Rag 「ザ・ボストン・ラグ」
 ド頭のギターの入り方が切なくてよい。間奏の前半でのピアノの刻みがちと下世話だが。

Your Gold Teeth 「ユア・ゴールド・ティース」
 奇妙な曲。激しく盛り上がる後半のインプロビゼーションはカッコイイが、これぞ未消化なジャズ・ロック的アプローチ。意味不明な歌詞はまったく意味不明。果たして本人たちもわかっているんだか。

Show Biz Kids 「ショー・ビズ・キッズ」
 リック・デリンジャーのギターに尽きる。ワン・コードで延々と続くバックの演奏はループだそうな。もちろん当時はサンプラーなどないため、マルチを2台つなげてものすごい手作業をやったらしい。「涙のショウ・ビジネス」がリリース当時の邦題。まるで「悲しきナントカ」みたいですな。

My Old School 「マイ・オールド・スクール」
 ライブではアンコールの定番。ノリノリの青春賛歌。ハーモニクスを多用したバクスターのギター・ソロは絶品。そのバックのカウベルがバカっぽくてよい。

Pearl Of The Quarter 「ヴレ・ヴ」
 バクスターのスチールギターがいい味を出している穏やかな曲。西海岸的カントリー風味を引き立てる。

King Of The World 「キング・オブ・ザ・ワールド」
 スネアがはっきりとシンコペする軽快な16ビート。エンディングでのダイアスのバップ調のギターがまた秀逸。バクスターが弾くバッキングのワウやディレイも愉快。シンセはアープか。これはチューニングが不安定で、ドナルド・フェイゲンは怒り狂い、ついにはブッ壊したとか。間奏部のしゃべり声は、ウォルター・ベッカーの適当なしゃべり声。


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