PRETZEL LOGIC
『プリッツェル・ロジック(さわやか革命)』
1974.3

Rikki Don't Lose That Number / Night By Night / Any Major Dude Will Tell You / Barrytown / East St.Louis Toodle-Oo
Parker's Band / Through With Buzz / Pretzel Logic / With A Gun / Charlie Freak / Monky In Your Soul

 バラエティーに富んだ作品。「リキ〜」が代表的ヒット曲であるがゆえにそこそこ名は通っているが、アルバムとして捉えれば完成度はそれほど高いとは思わない。小品集といってしまえばそれまでだが。
 バンド形態の瓦解が進み、参加ミュージシャンが多様化したことから、この作品は後期へのステップという見方もある。たしかにアレンジ面での進化はあるが、どの曲も基本的にはオーソドックスなアメリカン・ポップスであり、デモテープから日の目を見た帳尻合わせの曲が多いことからも、初期のアイデアの記録として作った作品と捉えたほうが妥当ではなかろうか。もちろんどちらも後付け的な解釈でしかないが、そう思えば、アレンジなどを差し置いた原始的な面でウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンの優れたソングライターとしての能力が見えてくる。
 どうでもいいけど、邦題がスゴすぎ。さすがに現行盤では副題の「さわやか革命」は取れたようだが。


Rikki Don't Lose That Number 「リキの電話番号」
 佳曲。耳になじむ明快なメロディ、ツボを押さえたマイケル・オマーティアンの美しいピアノ、適度な情熱を込めたジェフ・バクスターのギター・ソロも起承転結が明確で素晴しい。そして最後のサビのベースのオカズが聴かせる。曲自体がホレス・シルヴァーの「ソング・フォー・マイ・ファーザー」からの借用というのは周知のとおり。

Night By Night 「ナイト・バイ・ナイト(夜ごと歩きまわるのさ)」
 探偵ドラマのサントラのようなラッパがクサいメロディを引き立てる。テーマから察しても狙いだろう。どうやら彼らはそういった音世界が好きらしい。最も特徴的なのはデビッド・ペイチのクラビネットの刻み。ギター・ソロはバクスター。

Any Major Dude Will Tell You 「気どりや」
 穏やかで優しく味わい深い、隠れた名曲。てらいのない良質なアメリカン・ポップスといった趣。ささやき励ますようなフェイゲンのボーカルがしみる。こういうタイプの曲も初期スティーリー・ダンの捨てがたい魅力のひとつである。

Barrytown 「バリータウンから来た男」
 バクスターのペダル・スティールが遠くを望むような気分を醸し出す、爽やかな曲。フェイゲンが力を入れて歌うとベタついてしまうが。捨て曲といえよう。

East St.Louis Toodle-Oo 「イースト・セントルイス・トゥードゥル・オー」
 原曲はデューク・エリントン。ウォルターのワウ・ギターのヘタウマ加減がいい味を出している。ピアノとサックスはフェイゲン。バンジョーがディーン・パークス。最近のライブでも演奏している。

Parker's Band 「パーカース・バンド」
 本作では最も快活な曲。左右に振られたジム・ゴードンとジェフ・ポーカロのツイン・ドラムが聴きどころ。ブルース的進行で来て、ブリッジで突然ジャズのコード展開になる。これぞスティーリー・ダン。

Through With Buzz 「いけ好かない奴」
 オリジナル・アルバムの中では唯一ストリングスがフィーチャーされた曲。取り立ててどうこういうほどでもない。やっつけの捨て曲とのこと。

Pretzel Logic 「プリッツェル・ロジック」
 趣味的な匂いのするブルース。ギター・ソロはベッカー。

With A Gun 「銃さえあればね」
 テーマといい、ウエスタン調のギターといい、まさしく西部劇というか、テレビの音世界である。

Charlie Freak 「チャーリー・フリーク」
 救いようのない哀愁が漂う。後半のスティール・ギターがさらに哀愁感を盛り上げる。ちなみにアルペジオ的なこのピアノ演奏は疲れる。

Monky In Your Soul 「君のいたずら」
 なんともすっとぼけた味がいい。好き嫌いがあるようだが、一番面白い曲だと思う。やる気のないようなギター、間抜けなラッパ、そしてディストーションをかませてブンブンいわせたベース。中途半端なエンディングもよし。


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